最近、ゆとり教育をみなおす動きが活発化している。
●国立大学でも「補習授業」、なぜ!?
文部科学省が発表した「大学における教育内容等の改革状況について」の調査結果によると、およそ3割の大学で、学力や知識が不足している学生へ「補習授業」を実施していることが明らかになりました。補習や高校時代に未履修の科目を教えることは「リメディアル教育」と呼ばれ、大学改革の重要な柱のひとつです。補習をしている大学と聞くと学生の質が低いイメージを持ちがちですが、リメディアル教育を実施する大学は、それだけ学生の教育に責任を持っているとして教育関係者の間では高く評価されるようになってきています。
これは、まぐまぐニュースの一説だが、
こういう状況を「本末転倒」というのだろう。
本来、小中学・高校で、なすべき学習を大学が肩代わりしてやることは、
結局、時間や資源の無駄づかいをしていることに等しい。
本来、高等な学問を学ぶべき「高等学校」で、何も勉強せずに、大学に入る。
これを「本末転倒といわずにいわんやだ」
そこで、ゆとり教育とは何なのか
しばらく、話してみたいと思う。
ゆとり教育というと、2002年の指導要領改定だけだと思っている人が多い。
しかし、実際はそうではない。
一番最初にゆとり教育が提唱されたのは、
1977年の指導要領改定である。
このころの学習状況は、どういうものだったか。
なぜ、「ゆとり」が提唱されたのか。
このころ、第二次ベビーブームが始まっていて、生徒数がとても多かった。
中学校で、15クラスぐらいあるのが普通で、教室がなくて、
プレハブ校舎で授業をしたりしていた。
そういう物理的な生徒数増加があった。
そして、この時期、実は、もっとも大きな歴史的な流れが起こった。
スプートニク・ショックである。
スプートニク・ショック(Sputnik crisis、スプートニク危機)とは、1957年10月4日のソビエト連邦による人類初の人工衛星「スプートニク1号」の打ち上げ成功の報によりアメリカ合衆国の政府や社会に走った衝撃や危機感である。スプートニク計画以前、アメリカは自国を宇宙開発のリーダーであり、それゆえミサイル開発のリーダーでもあると信じていた。しかしスプートニク1号成功の突然のニュースと、それに続くアメリカの人工衛星計画「ヴァンガード計画」の失敗は、アメリカの自信を覆し全米をパニックに陥れた。
この時期、ソ連が戦略弾道ミサイル搭載潜水艦をアメリカに先駆けて配備するなど、軍事技術でアメリカが圧倒される出来事が相次いでいた。スプートニク・ショックを受けて、ソ連の脅威とアメリカの劣勢を覆すため宇宙開発競争が始まり、科学教育や研究の重要性が再認識されて大きな予算と努力が割かれるなど、危機感の中でアメリカの軍事・科学・教育が大きく再編された。スプートニク・ショックはアポロ計画、および1969年の月面着陸成功によって収束したが、冷戦のターニングポイントとなった出来事であった。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
要は、アメリカがソ連(当時)に宇宙開発競争に負けたために、
それに対応する流れになったこと。
実は、これが、ゆとり教育の遠い「はじまり」である。
アメリカは、このショックに対応するために、どうしたか。
新世代の技術者を養成するため、様々な教育計画が開始された。この中で今日もっとも記憶されている、また注目すべきものは、初等教育における算数教育を根本から改革し集合論や十進法以外の位取りなど抽象的な数学的構造を早い年齢から導入してアメリカ人の数学能力向上を目指した「新しい数学(en:New math)」というカリキュラムであろう。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
この運動を、「教育の現代化」あるいは「現代化教育運動」という。
要は、「小中学校のカリキュラムを、ソ連に勝てるものにした」のである。
今まで、学校で習っていなかった「集合や十進法以外の位取り」を
小中学生に教えることにしたのである。
そして、このアメリカの教育の流れは日本にも入ってきた。
時代は、高度経済成長の時代である。
「ソ連に負けない」が「アメリカの思想」であるとすれば、
「日本を世界一に。」それが、この現代化教育運動を日本にもたらした。
しかし、時期が悪かった。
これが導入されたのが、昭和43年(1968年)改定からである。
指導要領は、数年の移行期間を得て完全に実施される。
なので、この「現代化教育運動」と「第二次ベビーブーム」が重なったのである。
そうするとどうなるか。
授業は難しくなる。
しかし、生徒数が増え、面倒を見ることができない。
そもそも教室がない。
そのなかで、構造的に生まれてきたものが「おちこぼれ」である。
その状況を救うために、生まれたのが「ゆとり教育」なのである。
「学習内容を減らし、ゆとりのある学習を」というのは、
実は、「スプートニク・ショックによる現代教育運動」と
「第二次ベビーブームによる学習環境の悪化」を原因としてうまれてきた
「おちこぼれ」を救済するためにうまれた思想であったのである。
これが、ゆとり教育の原点である。
ゆとり教育は、実は「ゆりかえし」によって生まれたのである。
だから、今でも、論者の中に、「ゆとり教育は正しい」とか、
「子供たちは勉強させられすぎていてかわいそうだ」とかいうことを
言っている人たちがいるのは、、
このころの状況のまま、頭が止まっているのだろう。
それで、その後、どういう展開になっていったのか。(続く)
『伊雲の塾講日記』(ID:0000231728)
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